趣旨
- 研究会企画へ向けた準備作業の進捗報告会への参加者を若干名募集します。
- 作業タイトル： ブリュノ・ラトゥールの形而上学とエスノメソドロジー
- 報告者： 酒井泰斗・中村和生・吉川侑輝（→プロフィール）
- ※進捗報告互助会の開催は必ずしも実際の研究会開催を保証するものではなく、「調べてみたところ特に言うべきことはなかった」、「進捗しなかった」などの場合も含め 諸事情を勘案した結果として開催を取りやめる可能性があります。
※ご参考リンク： 2012年 応用哲学会大会ワークショップ「哲学と社会学のコラボレーションのために（II）」
- オーガナイザ： 酒井 泰斗（ルーマン・フォーラム）／井頭 昌彦（哲学、一橋大学）
- 発表者： 二瓶 真理子（哲学、東北大学 院）／中村 和生（社会学、青森大学）／前田 泰樹（社会学、東海大学）
- コメンテータ： 出口 康夫（哲学、京都大学）
会の課題とスケジュール概要
概況
- 2017年には、ラトゥールの二つの著作
- 『法が作られているとき――近代行政裁判の人類学的考察』（原著2002年刊行、堀口真司訳、水声社、2017年）
- 『近代の〈物神事実〉崇拝について――ならびに「聖像衝突」』（原著2009年刊行、荒金直人訳、以文社、2017年）
- 『社会的なものを組み直す―アクターネットワーク理論入門』（原著2005年刊行、伊藤嘉高訳、法政大学出版局、近刊）
Reassembling the Social: An Introduction to Actor-Network-Theory, Oxford University Press.
- ところでラトゥールは、『社会的なものを組み直す』の中で、
- ANTは、半ばガーフィンケルであり半ばグレマスである 1
- こうした事情がある一方で しかし、ここまでのところラトゥールとANTに関する検討は、かつては科学人類学・科学社会学・科学論、社会学史（たとえばタルド）、昨今では 思想史（たとえばミシェル・セールやライプニッツ）、人類学における存在論的転回、哲学における形而上学の更新などといった観点からおこなわれることが多く、エスノメソドロジーとの関わりについては ほぼ検討されないままにとどまっています。
- この進捗報告互助会では、こうした現状を踏まえ、ラトゥールの研究方針（ANT）とその形而上学について、エスノメソドロジー的に──ラトゥールの「形而上学的」な発言を 彼自身がおこなってきたフィールド研究へと差し戻すかたちで──検討しなおしてみたいと思います。
- 『社会的なものを組み直す』第１部 注54。「ANTを、半ばガーフィンケルであり半ばグレマスであると評しても、的外れではあるまい。ANTは、大西洋の両岸で見られる最も興味深い知的運動の二つを単純に結びつけ、アクターによる報告とテクストの双方の内的再帰性を育む方法を見出してきた。」（伊藤嘉高訳）
また本書では、ラトゥールにインスピレーションを与えた重要な著者としてタルド＋ガーフィンケルの名がしばしば並んで登場する。「タルドは、著名な先人たちの肖像画が並ぶなかにあって、ハロルド・ガーフィンケルと並び立つ、類い稀な存在のひとりである（ガーフィンケルの場合、社会学は、いかに社会がひとつに結びついているのかを明らかにする科学になれるものであり、社会を持ち出して、他の何かを説明したり当時の政治問題のひとつの解決に資したりするものではなかった）。」（序章、伊藤訳）
会の課題
- まずは『アクターネットワーク理論入門』を出発点にとり、以下の作業をおこなう：
- ラトゥール・ANTとエスノメソドロジー（EM）のポリシー水準での異同を確認する
- ラトゥール自身は、どのような点でEMを継承しているつもりなのかを確認する。
- 他方、いかにもEMとは相容れなさそうなポリシー提示もある。こちらもピックアップして、両者の関係がどのようになっているのかを検討する。
- ラトゥールのEM批判に応答する
- ラトゥールが明示的にEM批判を行っている論点が幾つかある。それに対しては反論を与える。
- ラトゥールが取り上げているANT批判を収集する
- ANTに対する批判のうちには、EMに対しても同様におこなわれるものがある。それに対してはEM的観点からの回答も与える。
- ラトゥール・ANTとエスノメソドロジー（EM）のポリシー水準での異同を確認する
- 作業[A] を進めながら、人類学（における存在論的転回）や哲学分野において、ラトゥールの議論のどのような部分が継承・展開されたり批判されたりしているのか、論点を抽出する。
- そのうえで、ラトゥールが行ったフィールド研究に立ち戻って それらを系統的に検討しなおし、そのなかで、 [B] で抽出した論点がどのように効いてくるのか（こないのか）──ラトゥールのフィールド研究において形而上学がどの様に使われている（or いない）のか──も一緒に検討する。
- ここに重ねて、「ラトゥールの形而上学はフィールド研究から抽出・創設されたものなのか、それとも形而上学がフィールド研究を可能にしていたのか」ということが問われてよい。
スケジュールと報告会の概要
- キックオフを2018年02月14日（水）に。以後二ヶ月に１度程度のペースで開催。（開催日は一覧頁参照）
- 開催地：本郷七丁目+WEB。
- 一年+α 程度の準備期間のあとで、「アクターネットワーク理論と社会学研究会」にて関連セッションを組むことを目標とする。
参加資格と参加申込
参加資格
- 初回開催日までに Latour, 2005, Reassembling the Social: An Introduction to Actor-Network-Theory を読んでこれる方。
- 希望者には現在刊行準備中の翻訳草稿をお渡しします。
- 学術論考の草稿、配布資料などの取り扱い作法を ご存知の方
- 他参加者に対して、エントリーメールにおいて丁寧な自己紹介を行っていただける方 （不十分な場合、参加をお断りしたり、著名人との自認がある方だと判断させていただくことがあります）
- 会の場において、ほかの参加者の意見をよく聴き、適切な受け答えの出来る方
- 構想・草稿などのブラッシュアップに貢献できる方
参加申込
- 進捗報告・検討会の参加者を 最大で10名 募集します（遠隔参加最大4名まで）。
- 参加希望の方は、下記項目を記し 件名を「ラトゥール検討会参加希望」としたメールを
までお送りください。
- メールアドレス以外の情報は、参加者間で共有されます。
- 会に関する連絡は Google Groups で行ないます。
| 記載事項 | 注記 | |
|---|---|---|
| 1 | 氏名 | 漢字＋フリガナ |
| 2 | Googleアカウントに登録しているメールアドレス | お持ちでない方は、こちらから作成してください：Google アカウントの作成 |
| 3 | 所属と専攻* | * 研究者以外の方は関心のある分野、バックグラウンドなどを記してください。 |
| 4 | 自己紹介 | 研究関心などをお書きください。 |