この読書会では、日本語で読める現代ゲーム研究の著作を、ゲーム開発者、研究者、プレイヤーなど、様々なバックグラウンドを持つ皆さんと読んでいます。2017年7月に開始し、これまでに下記の本を取り上げました。
- [2017年07月~09月] イェスパー・ユール(2005→2016)
- [2018年01月~03月] イェスパー・ユール(2013→2015)『しかめっ面にさせるゲームは成功する──悔しさをモチベーションに変えるゲームデザイン』
ビデオゲームだけでなく、AI研究、認知科学、計算機史・社会科学史、UXデザイン、社会実験、美学・哲学、文学理論、映画学…など、多様な関心・バックグラウンドをお持ちの方のご参加を歓迎します。
読書会の参加申込み手続きについては、「参加申込」の項を御覧ください。(この読書会は終了しました)
今後読書会で取り上げる候補として、下記の書籍が挙がっています:
おそらく多くの人にとって失敗は不快な体験ですが、失敗のリスクのないゲームはつまらないもの。悔しさやジレンマなしには成功体験によるカタルシスもありません。ゲーム制作において、「しかめっ面」にさせる仕組みの設計はプレイヤーを満足させるために必要不可欠なものと言っても過言ではないでしょう。
このパラドクスがなぜ生じるのか? 人間の心理としてそれはどのような仕組みになっているのかということを軸にゲームデザインを探求する本が、今回の読書会で取り上げる『しかめっ面にさせるゲームは成功する ─ 悔しさをモチベーションに変えるゲームデザイン』(イェスパー・ユール、2015)です。
前回の『ハーフリアル』読書会に引き続き、ゲームビジネスに携わる方のみならず、コンテンツ制作やマーケティング、心理学や人文学に関心のある方の参加をお待ちしております。(高橋未玲)
書籍紹介
ユール自身がエディターをつとめる MIT Press の の第一弾として2013年に出版された本、The Art of Failure: An Essay on the Pain of Playing Video Games の邦訳です。
この本は、一言でいえば、ゲームの本質を「失敗」という観点から探ろうというものです。失敗はつらい、ゲームには失敗が必ず伴う、なのにわれわれは進んでゲームをしたがる、これはどういうことなのか、失敗はどういう働きを持つのか、ゲームのどういう構造が失敗を作り出すのか、プレイヤーは失敗をどのように感じるのか。こういった問いが一貫して論じられます。
『ハーフリアル』と同じく、哲学的な議論、実証的な研究、ゲーム開発のフレームワークの交点にあるようなアプローチをとっています。『ハーフリアル』の発展と見ることもできますが、研究書と一般書の間くらいの雰囲気で、コンパクトにまとまっており、事例も多く、内容的にはこちらのほうがより読みやすいかもしれません。ゲームやそれをプレイする経験の独特のあり方を考える糸口としておすすめできる本です。(松永伸司)
参考: 邦訳レビューへのリンク
- - 9BIT GAME STUDIES & AESTHETICS
- - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
- - IGDA日本 SIG-AI世話人 三宅陽一郎 @miyayou
- - ニカイドウレンジ公式ブログ
- - 非電源ボードゲームで未来のゲームを妄想する
読書会概要
- 開催日程: 2018年1月開始。月に一度を目安に全3回。
- 第一回:2018年01月08日(月祝)、16:00-18:00、明治大学駿河台キャンパス
- 第二回:2018年02月12日(月祝)、16:00-18:00、明治学院大学白金キャンパス
- 第三回:2018年03月21日(水祝)、15:00-17:00、明治大学駿河台キャンパス
- 対象書籍: イェスパー・ユール 『しかめっ面にさせるゲームは成功する──悔しさをモチベーションに変えるゲームデザイン』(Bスプラウト 訳、、2015年)
- 主催者 : 高橋未玲 (編集者)、酒井泰斗 (会社員) [プロフィール]
- 読書会アドバイザー : 松永伸司 (東京藝術大学美術学部教育研究助手) [プロフィール]
参加申込
参加資格
- 開催日までに対象書籍を購入し・持参できる方
読書会でどれか一つの章について内容紹介を担当できる方
- 他参加者に対して、エントリーメールにおいて丁寧な自己紹介を行っていただける方 (不十分な場合、参加をお断りしたり、著名人との自認がある方だと判断させていただくことがあります)
- 読書会の場において、ほかの参加者の意見をよく聴き、適切な受け答えの出来る方
参加申込
- 参加を希望される方は、下記項目を記し、件名を「『しかめっ面』読書会参加希望」としたメールをまでお送りください。
- Googleアカウント以外の情報はメンバー間で共有されます。
- 募集は応募状況に応じて予告なく打ち切ります。
目次と日程
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開催日 |
章タイトル |
頁数 |
担当者 |
トピック |
第1回 |
01.08(月祝) |
第1章「はじめに:失敗のパラドックス」 |
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酒井泰斗(会社員) |
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第2章「失敗のパラドックスと悲劇のパラドックス」 |
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平山 泉 |
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第2回 |
02.12(月祝) |
第3章「失敗の心理」 |
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小林(七邊)信重(デジタルハリウッド大学大学院) |
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第4章「ゲームにおける失敗のあり方」 |
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高田敦史(会社員) |
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第3回 |
03.21(水祝) |
第5章「架空の失敗」 |
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工藤郁子(マカイラ株式会社/中京大学経済研究所) |
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第6章「失敗のアート」 |
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中川大地(評論家/編集者、明治大学野生の科学研究所研究員) |
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