ライルの現象学
村井忠康(お茶の水女子大学非常勤講師)
分析哲学におけるカント的伝統の継承者たち(ストローソン、セラーズ、マクダウェルなど)の仕事を手がかりとして、知覚経験の(非)概念性、自己意識の問題などに取り組んできました。最近は、知覚と行為の分析におけるアスペクト(相)の重要性を強調する動向を踏まえたうえで、カントの知覚論と判断論を再考できないかと画策しています。
- 翻訳
- ジョン・マクダウェル『徳と理性:マクダウェル倫理学論文集』(共訳、勁草書房、2016年)
- ジョン・マクダウェル『心と世界』(共訳、勁草書房、2012年)
- 論文
- 「経験における概念のゆくえ」、小熊正久・清塚邦彦(編著)『画像と知覚の哲学』、東信堂、2015年。
- 「自己意識への二つのアプローチーーオックスフォード新カント主義からカントへーー」、カント研究会編『カントと現代哲学(現代カント研究13)』、晃洋書房、2015年。
- 「超越論的演繹を投げ捨てることの難しさーーマクダウェルの治療的カント解釈をめぐって」、『日本カント研究』、日本カント協会、14号、2013年。
植村玄輝
フッサールを中心とした現象学の研究をこれまで行なってきました。それと同時に、フッサールを中心としない現象学のあり方をいかにして描くかということにも興味があり、初期の現象学派(「ミュンヘン・ゲッチンゲン学派」)や現代哲学への現象学的なアプローチといった話題にも手を伸ばしています。
- 著書
- 『真理・存在・意識:フッサールの『論理学研究』を読む』(知泉書館、2017年刊行予定)。
- 共編著
- 『ワードマップ現代現象学』(新曜社、2017年刊行予定)
- 翻訳
- ヒューバート・ドレイファス&チャールズ・テイラー『実在論を立て直す』(共訳、法政大学出版局、2016年)。
- トゥオマス・タフコ編『アリストテレス的現代形而上学』(共訳、春秋社、2015年)
- 論文
- 「フッサールの反心理主義批判」、『哲學』、日本哲学会、第66号、2015年、127–142頁。
- 「現象学的実在論と感覚の関係説」、『現象学年報』、日本現象学会、第31号、2015年、99–107頁。
- “Husserl’s conception of Cognition as an Action. An Inquiry into its Prehistory.” In Feeling and Value, Willing and Action. Essays in the Context of a Phenomenological Psychology, M. Ubiali & M. Wehrle (eds.), Dordrecht: Springer, 2015, 119–137.
小宮友根
主に法とジェンダーの領域でエスノメソドロジー/会話分析研究に取り組んでいます。ここ数年は模擬評議の研究を軸に取り組んでいますがあまり進んでいません。最近は福島県で被災地復興に取り組む人々の活動の記録にもかかわっています。
- 著書
- (新曜社、2011年)
- 共編著
- (ナカニシヤ出版、2016年)
- 共訳
- ボードワン・デュプレ「「真実」を語ること─テロを非難するテレビ映像のエスノメソドロジー分析─」(『東海法学』49、2015年)
- 論文
- 「裁判員は何者として意見を述べるか」(『法社会学』79号、2013年)
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ウィンチの『理念』
笠木雅史(京都大学文学研究科・日本学術振興会特別研究員PD、大阪大学基礎工学研究科・招へい准教授)
分析哲学・実験哲学を専門にしています。いろいろな主題を研究していますが、最近は特に分析哲学の方法論に関心を持っています。
- 著書:
- 『学生を思考にいざなうレポート課題』(成瀬尚志編、2016年、)
- 論文:
- (The Philosophical Forum, 2016)
- (with C. S. I. Jenkins, Synthese, 2015)
- (Acta Analytica, 2014)
山田圭一(千葉大学人文社会科学研究科・准教授)
一般的に、言語哲学、認識論、心の哲学、知覚の哲学と呼ばれるあたりの哲学的問題についてあれこれ考えるとともに、これらの問題を考える際の拠り所としてウィトゲンシュタインの哲学を研究しております。最近西阪先生との議論を通じて、ようやく(遅すぎ!)エスノメソドロジーとウィトゲンシュタイン哲学とのつながりの根っこの部分が少しずつ分かってきたような気がしているところなので、今回の研究会を通じてそのあたりの理解をより深められることを願っております。
- 著書:
- 『ウィトゲンシュタイン最後の思考-確実性と偶然性の邂逅-』(、2009年)。
- 訳書:
- フィッシュ, W.『知覚の哲学入門』(山田圭一:監訳、源河亨・國領佳樹・新川拓哉:訳、、2014年)。
- 編著:
- 『これからのウィトゲンシュタイン——刷新と応用のための14篇』(荒畑靖宏・山田圭一・古田徹也編、、2016年)。
- 論文
- 「アスペクト転換において変化するもの-ウィトゲンシュタインの二つのアスペクトの分析を通じて-」、小熊正久・清塚邦彦(編著)『画像と知覚の哲学』、東信堂、205-223頁、2015年。
- “What is Wittgenstein's View of Knowledge?”, , 33号, pp.16-27.2016.
浦野 茂(三重県立看護大学看護学部教員)
おもな研究関心は、人間・社会科学や医学の専門的知識が日常的生活実践との間に作りあげている多様な関係を記述・解明することです。現在は、発達障害や精神障害をもつ人びとの実践に学びながら、これらの障害概念の基盤について社会学の観点からどんなことが言えるのか、試行錯誤しているところです。L. ウィトゲンシュタインやP. ウィンチの議論は、こうした概念を生活状況の具体性のなかで捉えるさいに、エスノメソドロジーとともにとても参考になると感じています。
- 編著:
- (酒井泰斗・浦野茂・前田泰樹・中村和生・小宮友根編:、2014年)
- (酒井泰斗・浦野茂・前田泰樹・中村和生編:、2009年)
- 訳書:
- リンチ, M.『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』(水川喜文・中村和生監訳:、2012年)
- 論文:
- 「当事者研究の社会的秩序について――経験の共同的研究実践のエスノメソドロジーに向けて」27(1), 18-27, 2016年
- 「言いっぱなし聞きっぱなし――自閉スペクトラム症当事者による当事者研究における物語り」『ナラテイヴとケア』6, 92-101, 2015年(綾屋紗月、青野楓、喜多ことこ、早乙女ミナリ、陽月トウコ、水谷みつる、熊谷晋一郎との共著)
- 『社会学評論』64(3), 492-509, 2013年.
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