エスノメソドロジー |
ルーマン |
研究会 |
馬場靖雄論文書庫 |
そのほか |
《いくつかの補足》
日本語で読める、ルーマンのシステム論についての本を紹介しておきます。
・大澤真幸、『行為の代数学』、青土社、1988
『自己言及性について』でもしばしば言及されるスペンサー・ブラウンの算法が丁寧に解説されていますが、それなりに根気の必要な本です。ハイデガーの《世界内存在》とスペンサー・ブラウンの《再参入》を結びつけるところがこの本の面白いところです。ルーマンも登場します。
・大庭健、『他者とは誰のことか』(勁草書房)、1989
これは「自己組織論」の立場から、初期ルーマンの著作『信頼』の訳者でもある大庭さんが、《システム》を「人と人のあいだ」と解釈して書かれたものですが、この本では残念ながら現在のルーマンの理論的基盤たるオートポイエーシス理論までは議論されてはいません。続編は『権力とはどんな力か』。
・『システムと共同性』(叢書エチカ・4、昭和堂)、1994
これはとくにルーマンに焦点を絞った本ではないのですが、多くの論者がルーマンに言及し、ある意味で現在の日本におけるルーマン受容を映し出しています。またこの本の巻末には私の友人が作った、日本語で読めるシステム論一般に関する文献表が掲載されています。
また、ルーマンを理解するうえで、「本家」マトゥラーナのオートポイエーシス論にまで遡る必要はないと考えますが、もしそちらにも興味のもたれた方は、日本語で読めるものでは、
マトゥラーナ+ヴァレラ、『オートポイエーシス』、河本英夫訳
河本英夫、『第三世代システム:オートポイエーシス』
がありますが、河本さんの議論はドイツ観念論とのからみで興味深いものの、こういってはなんですが少々かったるいので、むしろ英語の読めるかたなら オートポイエーシス理論関係のウェブサイトが分かる
http://exo.com/%7Epalmer/autopoiesis/websites.htm
やオートポイエーシス理論の概説が平易な英語で読めるhttp://www.acm.org/sigois/auto/ATReview.html
などを参照されることをおすすめします。参考資料として PRINCIPIA CYBERNETICA WEB Web Dictionary of Cybernetics and Systems の AUTOPOIESIS の項目を引用しておきます。
the process whereby an organization produces itself. An autopoietic organization is an autonomous and self-maintaining unity which contains component-producing processes. The components, through their interaction, generate recursively the same network of processes which produced them. An autopoietic system is operationally closed and structurally state determined with no apparent inputs and outputs. A cell, an organism, and >perhaps a corporation are examples of autopoietic systems. See ALLOPOIESIS. (F. Varela)
Literally, self-production. The property of SYSTEMs whose components(1) participate recursively in the same NETWORK of productions that produced them, and
(2) realize the NETWORK of productions as a UNITY in the space in which the components exist (after Varela) (see RECURSION). Autopoiesis is a process whereby a system produces its own ORGANIZATION and maintains and constitutes itself in a space. E.g., a biological cell, a living organism and to some extend a corporation and a society as a WHOLE. (Krippendorff)
http://pespmc1.vub.ac.be/ASC/AUTOPOIESIS.html