エスノメソドロジー |
ルーマン |
研究会 |
馬場靖雄論文書庫 |
そのほか |
ここには、2012年12月22日(日)に東京大学にて開催した 社会学研究互助会第四回研究会「マイケル・リンチ『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』合評会」における配布資料などを掲載しています。
このコーナーの収録物 | 中村 和生さん (配布資料) | |
伊勢田 哲治さん (配布資料 ) (討議) | ||
立石 裕二さん (配布資料) (討議) | ←このページ | |
全体討議摘要 |
※本書の紹介ページがあります。あわせてご覧下さい。
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論者 |
主張 |
リンチの批判(引用を含む) |
EMの対案 |
1 |
マンハイム |
相対主義ではない「相関主義」:歴史的比較によって一定の価値自由を可能にする(61) |
(中立的な観察言語をめざす、実現不可能な取り組み) |
A:社会を分析するには、その社会の言語を使い、その実践に組み込まれるしかない(相互反映性) |
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2 |
マートン |
学問領域内部の革新は自律的に生じる(CUDOS規範の額面通りの解釈、報酬系)(77) |
公言された規範(科学者の回顧的発言)と実際の行動ルールを区別していない(81) |
B:事後的な再構築とは異なる、科学者の実践(ワーク)、ワーク特有の能力、それによる秩序のローカルな産出を研究する |
3 |
修正マートン |
CUDOSや先取権の規範には、反規範とのジレンマがつねに存在 (84) |
実際には、その方向で研究を展開しなかった(83) |
C:規則は絶対的なものではなく、規則に対する様々な関わり方があるという立場 |
4 |
ブルア |
因果性:少なくとも部分的には、(外的)要因によって信念の内容を説明できる(92) |
当事者の認識していない(受容するはずのない)要因を持ち出すことで、研究対象の認識共同体との間に、解決困難な対立(94) |
D:実験室での出来事は完全に文脈づけられており、その場を分析することで理解できる。歴史家・社会科学者に解釈の自由はない |
5 |
ブルア |
不偏性と対称性:すべての理論や事実は、社会的に説明される「信念」として扱われるべき(94) |
政治的・恣意的という意味合いが生じるが、それは正しくない(97) |
E:不偏性(積極的に偏りをなくす)ではなく、無関心(偏りがあるかはそもそも考えない)。現に科学者が実践していることの記述にとどまるべきだ |
6 |
ピッカリング |
素粒子物理の進歩は、他でもありえた可能性の中の一つにすぎず、物理学者の解釈が入っている(101) |
ピッカリングの主張自体、メインストリームとは異なる「科学者バージョンの説明」になっている(102) |
E:不偏性(積極的に偏りをなくす)ではなく、無関心(偏りがあるかはそもそも考えない)。現に科学者が実践していることの記述にとどまるべきだ |
7 |
コリンズ |
論争の終結は「決定テスト」ではなく、専門分野のコア集団の中での社会的プロセスによって決まる (108) |
コリンズの示す経験的証拠から、ウェーバーの実験が間違っていたと結論することも可能(108) |
E:不偏性(積極的に偏りをなくす)ではなく、無関心(偏りがあるかはそもそも考えない)。現に科学者が実践していることの記述にとどまるべきだ |
8 |
SSK全般 |
相対主義や構築主義の立場(120-121) |
経験的研究とは無関係であり、研究に先立つ理論的前提・ポリシーにすぎない(120-121) |
E:不偏性(積極的に偏りをなくす)ではなく、無関心(偏りがあるかはそもそも考えない)。現に科学者が実践していることの記述にとどまるべきだ |
9 |
実験室のエスノグラフィー |
現場の直接観察によって、科学の営みが発見ではなく創造のプロセスだと明らかにする(109) |
科学の「内容」が曖昧なまま。科学者が「直接観察」と言うと批判するのに、我が身は省みないのか?(123) |
B:事後的な再構築とは異なる、科学者の実践(ワーク)、ワーク特有の能力、それによる秩序のローカルな産出を研究する |
10 |
ラトゥールとウールガー |
文字による銘刻(inscription)を重視(112) |
「隠された技術と膨大な装置」が関わることを見ていない(112) |
B:事後的な再構築とは異なる、科学者の実践(ワーク)、ワーク特有の能力、それによる秩序のローカルな産出を研究する |
11 |
ラトゥールとウールガー |
当の科学者の用語法から距離をとるべき(114) |
中立的な観察言語をめざす、実現不可能な取り組み(科学者とわれわれは基本的に同じ言語を使う)(116) |
A:社会を分析するには、その社会の言語を使い、その実践に組み込まれるしかない(相互反映性)。 |
12 |
ラトゥールのANT |
人もモノも等しく扱う記号論的アプローチ(128) |
従来の社会学に引き寄せた「誤解」をうまく利用して、「より広い」文脈を扱える分析に見せかけている(129-130) |
D:実験室での出来事は完全に文脈づけられており、その場を分析することで理解できる。歴史家・社会科学者に解釈の自由はない |
13 |
ポスト構築主義全般 |
実験室には研究すべきものが残っていない(124) |
個別性はあるが、散漫ではなくローカルな秩序をもっており、研究対象となりうる(133, 366) |
B:事後的な再構築とは異なる、科学者の実践(ワーク)、ワーク特有の能力、それによる秩序のローカルな産出を研究する |
14 |
ポスト構築主義全般 |
「より大きな」文脈を考慮に入れる必要性(132) |
書かれたものではない生の実践が見失われ、科学の実際とかけ離れた議論に戻ってしまう(132) |
D:実験室での出来事は完全に文脈づけられており、その場を分析することで理解できる。歴史家・社会科学者に解釈の自由はない |
出典:『環境問題の科学社会学』
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SSK(利害批判以降) |
ANT(Latour) |
エスノメソドロジー(Lynch) |
STS(Jasanoff) |
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手法 |
論文・インタビュー(会議録) |
インタビュー・録音・メモ |
録音・メモ |
会議録・インタビュー・論文 |
めざす理論 |
組織論、社会変化 |
社会変化 |
ミクロ秩序 |
組織論 |
単一出来事の原因探究 |
○ |
○ |
× |
△× |
利用局面の分析 |
△ |
○ |
片方のみ |
○ |
生産局面の分析 |
○ |
○ |
片方のみ |
△× |
生産と利用のつながり |
組織・人脈 |
記号 |
- |
組織・人脈 |
研究内容の分析 |
○ |
○△ |
△ |
△× |
組織・イデオロギー分析 |
○ |
× |
× |
○ |
現場の調査 |
△ |
○ |
◎ |
△ |
独自の科学的立場 |
○ |
× |
× |
× |