- 2023.01.24
- 哲学の劇場 Youtubeチャンネルの #139 として「プロジェクト紹介ビデオ」を作成していただきました。吉川・酒井と受講生代表二名が山本貴光さんの質問に応えるかたちで「講義」と「読書会」を紹介するものです。57分の大作です。
- 2023.01.23
- 「検討対象参考リンク」に戸田山和久『思考の教室』の書評リンクを掲載しました。
- 2023.01.22
- 第二期読書会の参加者募集中です。初回は 2/5(日)、対象文献は戸田山和久『思考の教室』です。
課題
広く読まれている哲学入門書5~6冊をとりあげ、二つの社会学的な観点から検討します:これをもう一歩ブレークダウンした下記観点を携えて、各著作を読んでいきます:
- 哲学者たちは、外向けには、哲学がどのようなものであると呈示しているか
- 哲学者たちは(哲学科に進まない人たちが・講読以外のやり方で)哲学の訓練を行うことについて、どのような具体的アイディアを持っているか
- 哲学には特別なテーマがあるのか・特別に哲学的なテーマがあるのか
- 哲学を勉強すると(仕事にとって/生活にとって/人生にとって)どんないいことがあるのか
- 講読以外の哲学演習のアイディアにはどのようなものがあるか
- 哲学にとって対話とはどのようなメディアなのか
回の進め方と作業目標
- 一冊を3(+1)回で取り上げます。
- 【第一回】書籍全体 → 【第二回】いくつかの章 → 【第三回】特定の一つの章 といったかたちで、回を追うごとに検討範囲を絞りながら進めます。
- 第四回を「討議回」とし、第三回までに作成した複数の要約に基づいたディスカッションを行います。
- タイプの異なる文献それぞれについて、粒度の異なる複数の要約を作成することを会の中間目標とします。
- これを介してテクスト読解と、読解に基づく議論の訓練の場を提供します。
- 各回の進行は、主催者二人が準備したレジュメに沿って進めますが、参加者からのレジュメ提出も歓迎します。
想定参加者
- 高校卒業程度相当の知識と教養を持ち、哲学について知りたいと考えている哲学を専攻していない方
- テクストの読み方、テクストに基づいた議論の仕方を(難しくない本を使って)訓練してみたい方
- 非専門家向けの哲学教育に関心のある哲学専攻者
記載事項 | 注記 | |
---|---|---|
1 | 氏名 | 漢字+フリガナ |
2 | Googleアカウントに登録しているメールアドレス | (他の参加者には共有されません) 研究会に関する連絡は Google Groups で行ないます。アカウントをお持ちでない方は、こちらから作成してください: Google アカウントの作成 |
3 | 所属 | (他の参加者には共有されません) |
4 | 専攻もしくは関心、知的バックグラウンド | |
5 | 自己紹介 |
※1, 4, 5は参加者と共有されます。
※連絡のために Google Groups を使うほか、ディスカッションやファイル共有のために Google Drive、Google Classroom などを利用する可能性があります。
※討議回(第四回)は参加費不要です。討議回のみの参加はできません。
※開催日は変更される可能性があります。
開催予定日 | 対象・範囲 | 課題 | |
第一回 | 2022.10.02(日)10:00-12:30 | 本書全体 | 次回検討すべき章を2~3選択します |
第二回 | 2022.11.06(日)10:00-12:30 | どれか2~3つの章 | 詳細に検討すべき章を1つ選択します |
第三回 | 2022.12.04(日)10:00-12:30 | どれか1つの章 | 1つの章を取り上げて詳細に検討します |
討議回 | 2023.01.08(日)10:00-12:30 |
開催予定日 | 対象・範囲 | 課題 | |
第一回 | 2023.02.05(日)10:00-12:30 | 本書全体 | 次回検討すべき章を2~3選択します |
第二回 | 2023.03.05(日)10:00-12:30 | どれか2~3の章 | 詳細に検討すべき章を1つ選択します |
第三回 | 2023.04.02(日)10:00-12:30 | どれか1つの章 | 1つの章を取り上げて詳細に検討します |
討議回 | 2023.05.07(日)10:00-12:30 |
趣旨文に記した通り、本会の最大の課題は〈哲学者たちは何を考えているのか-を知ること〉です。この趣旨に応じて、会のミニマムな課題は「そのテクストには何が書いてあるのか」「著者は何を述べているのか」「著者は何をしているのか」を知ること、に決まります。参加者に「その他のこと(たとえば読者各人の感想など)を語るな」といった制限を課そうとまでは思いませんが、しかしこの読書会にとってはそれらは二の次のことです。
読書会の最中に、ずっと気にかけておいていただきたいのは、他のひとたちと一緒に読むからこそ使える
そのような仕方で他人と本を読んだことがない人のために、以下、読書会へのオリエンテーションとして、ガイドとなる指針を幾つか記しておきます*。
下図に、「個人の感想」を協働的な検討・討議へと変換・連結する準備のための図式を記しました。これは、テクストを読んでいるときにいつでも利用できるものです。
出発点:①
テクストを読んでいるときに生じる様々な想念は、すべて読解と議論の出発点として使うことができます。典型的には「疑問」がそうですが、注意・関心が引かれたところ・目が奪われたところはすべて、議論の場に持ち出すことができます。①の箱は、その思念や疑問を文のかたちで述べるよう求めています。
筆者・文献の側の事情:②③
②は、①の想念が、文献の どこ[どこからどこまで]にもとづいて生じたのかを明示するよう求めています。③は、その場所②において、何が述べられているか・何が行われているかを言語化するよう求めています。
③が簡単には言語化できないこともあるのに対して、②は容易に特定できるのが普通です*。したがって、まずは最初に②の特定を目指してください。
* ただし、疑問を思いついたときにその場所をメモしておく、といった準備作業は必要です。実際の読書会では、場所を特定するのに時間がかかってしまい、なかなか議論へと進めない場面がよくあります。読者の側の事情:④
テクストのどこかに疑問を持ったり、注意を惹かれたりすることには理由があるはずです。疑問も驚きも感慨も、突然に根拠もなく生じるわけではありません。④は、①が生じるために必要だった読者の側にある事情を明示化・言語化するよう求めています。
①②③④のうちでは、④がもっとも難しいことが多いでしょう。①と③のどちらが難しいかは場合によります。したがって、まずは②を、ついで① or ③を片付けてから、④に向かうのがよいでしょう。
二種の反省のフォーマット
①②③④の間には、以下の論理的な関係があるはずです:
- ★: 箇所② の 記述③ に対して 前提④ を使うと 思念① が生じる
執筆者の側の事情:⑤
(①)②③④の内容は、執筆者が置かれた条件の方からチェックすることができます。しかしこれは追加の解説が必要なので、ここでは措きましょう*。
* 読書会のなかで触れます。
作業を分解したので、これは 〈そう読める〉理由を述べるという元の課題よりハードルが下がっています。また、①②③④のすべてを一度に埋められなくても議論は始め・進められます。お互いが★というフォーマットを知っていれば、他の人の協力を得て空欄を埋められるかもしれません。
まずは、この水準で、読解-議論を進めることを目指してみてください。
自分の発言を「哲学のことはよく知らないので・哲学は素人なので」、「個人的な意見ですが」、「間違っているかもしれませんが」といった表現で総括的に修飾するのは ぜひともやめてください。これには二つの理由があります。