注意事項
- 本会は、雑誌連載のための準備作業として開催するものです。読書会内の発言・書き込みなどは、連載稿や単行本などのなかで お名前を挙げずに 取り上げさせていただくことがあります。
- 講義の録音、録画は不可とします(アーカイブ動画は運営より講義終了後に共有いたします)。
- 運営より共有される配布資料の外部への公開、共有はご遠慮ください。
- 受講資格を第三者に譲渡することは認められません。
- 参加者都合によるキャンセルについて返金はいたしかねます。
- 設備・機材を破損する、講義を妨害する、他の参加者や講師陣の中傷を行うなど、講座運営に支障を及ぼす行為をした場合、運営の判断により参加を禁止する場合があります。その場合も受講料の返金は行いません。
参加資格
以下の条件を満たす方にご参加いただけます。
- 開催日に対象書籍を持参できる方
- 読書会当日までに各回の範囲を三回以上通読してこれる方
- 他参加者に対して丁寧な自己紹介を行っていただける方 (不十分な場合、参加をお断りしたり、著名人との自認がある方だと判断させていただくことがあります)
- 読書会の場において、ほかの参加者の意見をよく聴き、対象文献に基づいた発言の出来る方
申込要項
- 事前にエディタにて下記内容を準備のうえ、パスマーケット にて申し込んでください。
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記載事項 |
注記 |
1 |
氏名 |
漢字+フリガナ |
2 |
Googleアカウントに登録しているメールアドレス |
(他の参加者には共有されません)
研究会に関する連絡は Google Groups で行ないます。アカウントをお持ちでない方は、こちらから作成してください:
Google アカウントの作成 |
3 |
所属 |
(他の参加者には共有されません) |
4 |
専攻もしくは関心、知的バックグラウンド |
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5 |
自己紹介 |
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※1, 4, 5は参加者と共有されます。
※連絡のために Google Groups を使うほか、ディスカッションやファイル共有のために Google Drive、Google Classroom などを利用する可能性があります。
スケジュール
※討議回(第四回)は参加費不要です。討議回のみの参加はできません。
※開催日は変更される可能性があります。
第四期: 千葉雅也『現代思想入門』 読書会の日程
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開催予定日 |
対象・範囲 |
課題 |
第一回 |
2023.10.01(日)10:00-12:30 |
本書全体 |
次回検討すべき章を2~3選択します |
第二回 |
2023.11.05(日)10:00-12:30 |
どれか2~3の章 |
詳細に検討すべき章を1つ選択します |
第三回 |
2023.12.03(日)10:00-12:30 |
どれか1つの章 |
1つの章を取り上げて詳細に検討します |
討議回 |
2024.01.07(日)10:00-12:30 |
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第三期: 中島義道『哲学の教科書』読書会の日程
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開催予定日 |
対象・範囲 |
課題 |
第一回 |
2023.06.04(日)10:00-12:30 |
本書全体 |
次回検討すべき章を2~3選択します |
第二回 |
2023.07.02(日)10:00-12:30 |
どれか2~3つの章 |
詳細に検討すべき章を1つ選択します |
第三回 |
2023.08.06(日)10:00-12:30 |
どれか1つの章 |
1つの章を取り上げて詳細に検討します |
討議回 |
2023.09.03(日)10:00-12:30 |
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第二期: 戸田山和久『思考の教室』読書会の日程(募集は終了しました)
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開催日 |
対象・範囲 |
課題 |
第一回 |
2023.02.05(日)10:00-12:30 |
本書全体 |
次回検討すべき章を2~3選択します |
第二回 |
2023.03.05(日)10:00-12:30 |
どれか2~3の章 |
詳細に検討すべき章を1つ選択します |
第三回 |
2023.04.02(日)10:00-12:30 |
どれか1つの章 |
1つの章を取り上げて詳細に検討します |
討議回 |
2023.05.07(日)10:00-12:30 |
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第一期: 梶谷真司『考えるとはどういうことか』 読書会の日程(募集は終了しました)
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開催日 |
対象・範囲 |
課題 |
第一回 |
2022.10.02(日)10:00-12:30 |
本書全体 |
次回検討すべき章を2~3選択します |
第二回 |
2022.11.06(日)10:00-12:30 |
どれか2~3つの章 |
詳細に検討すべき章を1つ選択します |
第三回 |
2022.12.04(日)10:00-12:30
2023.01.08(日)10:00-12:30 |
どれか1つの章 |
1つの章を取り上げて詳細に検討します |
討議回 |
2023.01.08(日)10:00-12:30
2023.01.22(日)10:00-12:30 |
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趣旨文に記した通り、本会の最大の課題は〈哲学者たちは何を考えているのか-を知ること〉です。この趣旨に応じて、会のミニマムな課題は「そのテクストには何が書いてあるのか」「著者は何を述べているのか」「著者は何をしているのか」を知ること、に決まります。参加者に「その他のこと(たとえば読者各人の感想など)を語るな」といった制限を課そうとまでは思いませんが、しかしこの読書会にとってはそれらは二の次のことです。
読書会の最中に、ずっと気にかけておいていただきたいのは、他のひとたちと一緒に読むからこそ使える
という問いです。読書会のスタイルには様々なものがありえますが、本会は、〈そう読める〉理由を お互いに提示しあうことで、そのテクストに何が書いてあるのかを明らかにするという課題に協力して取り組むことを目指します。実際のところ、この作業はそれなりに難しいので、ちゃんとやり始めると「個人の感想」などを述べている暇も余裕もなくなるはずです。
そのような仕方で他人と本を読んだことがない人のために、以下、読書会へのオリエンテーションとして、ガイドとなる指針を幾つか記しておきます*。
* 読書会のなかで、さらに他の指針も紹介します。
直観からテクストに帰還する手法: 文献読解における二種の反省
下図に、「個人の感想」を協働的な検討・討議へと変換・連結する準備のための図式を記しました。これは、テクストを読んでいるときにいつでも利用できるものです。

出発点:①
テクストを読んでいるときに生じる様々な想念は、すべて読解と議論の出発点として使うことができます。典型的には「疑問」がそうですが、注意・関心が引かれたところ・目が奪われたところはすべて、議論の場に持ち出すことができます。①の箱は、その思念や疑問を文のかたちで述べるよう求めています。
筆者・文献の側の事情:②③
②は、①の想念が、文献の どこ[どこからどこまで]にもとづいて生じたのかを明示するよう求めています。③は、その場所②において、何が述べられているか・何が行われているかを言語化するよう求めています。
③が簡単には言語化できないこともあるのに対して、②は容易に特定できるのが普通です*。したがって、まずは最初に②の特定を目指してください。
* ただし、疑問を思いついたときにその場所をメモしておく、といった準備作業は必要です。実際の読書会では、場所を特定するのに時間がかかってしまい、なかなか議論へと進めない場面がよくあります。
読者の側の事情:④
テクストのどこかに疑問を持ったり、注意を惹かれたりすることには理由があるはずです。疑問も驚きも感慨も、突然に根拠もなく生じるわけではありません。④は、①が生じるために必要だった読者の側にある事情を明示化・言語化するよう求めています。
①②③④のうちでは、④がもっとも難しいことが多いでしょう。①と③のどちらが難しいかは場合によります。したがって、まずは②を、ついで① or ③を片付けてから、④に向かうのがよいでしょう。
二種の反省のフォーマット
①②③④の間には、以下の論理的な関係があるはずです:
- ★: 箇所② の 記述③ に対して 前提④ を使うと 思念① が生じる
執筆者の側の事情:⑤
(①)②③④の内容は、執筆者が置かれた条件の方からチェックすることができます。しかしこれは追加の解説が必要なので、ここでは措きましょう*。
* 読書会のなかで触れます。
作業を分解したので、これは 〈そう読める〉理由を述べるという元の課題よりハードルが下がっています。また、①②③④のすべてを一度に埋められなくても議論は始め・進められます。お互いが★というフォーマットを知っていれば、他の人の協力を得て空欄を埋められるかもしれません。
まずは、この水準で、読解-議論を進めることを目指してみてください。
* この図は、朝日カルチャーセンターで行っている「非哲学者による非哲学者のための(非)哲学の講義」で 講読の指針として使っているものであり、以上に記した読解方針は 社会学の一流儀であるエスノメソドロジー研究を参考にして構想したものです。エスノメソドロジーについてはこちらの教科書を御覧ください:
より限定的=特定的な質問をするためのtips
同じことを、別の側面から論じてみます。
- テクストを読んだときに参加者各人に生じる疑問は、読書会にとって最大の資源です。しかし時間の制限のある中で有効に議論を進めるためには、疑問を限定的に述べることが必要です。そこで最初に使ってほしいのは、「疑問点を-理解とセットで-述べる」(わからなかったことを-わかったこととセットで-述べる)という技法です。
- 一般に、テクストについての疑問というものは、テクスト(の或る箇所)が与えられたときに〈わかったこと〉に基づいて生じます。なんらかの〈わからないこと〉が生じたときには いつも、まずその手前で、すでに 何かを〈わかって〉しまっているはずなのです。
- 上図でいうと。疑問①が生じたときには、テクストのある箇所②を読んで、何らかの理解③が得られているはずです。ですから、これを使えば、疑問を次のフォーマットで提示することができます:
- ★':私はテクストの 箇所② を ③だと理解した。そこで 疑問① が生じた。
- このフォーマットを使うと、発言者が疑問をより限定的に述べることができるだけでなく、参加者も討議が次に扱うべき事柄を分解して(=限定して)・かつ・組み合わせながら進めることができます。つまり以下のようなレパートリーを使って討議を進めていくことができるようになるわけです:
- どのような事情によって、箇所② から 疑問①が生じるのか。
- 箇所②を③だと解するのは適切か。
- 理解③から疑問①が生じるのはなぜか。
- 疑問①にどう答えればよいか。
そして、そのなかで、その疑問が確かに〈テクストにもとづいて〉生じたものだと言えるかどうかも吟味できるでしょう(「ある読書会が、確かに当のそのテクストについて議論している」ということを保証するのは①ではなく③の方なのです)。
間違った読解を無駄な読解にしない手法
しかし、ここにはさらに重要な事柄があります。
- ある読者がテクストのある箇所②を見て、それを特定の仕方で理解③した場合、仮にそれが誤解や勘違いであった場合にも、そこには何らかの理由があるはずです。たとえば、それは、②を読む際に考慮しなければならなかった周囲のほかの要素②'を考慮しなかったせいなのかもしれません。もし討議の結果、それが「見逃しによる誤解」であることが判明したとすれば、それによって「②は、②'とセットで読まなければならない」ということがわかったことになります。つまりそれによって、テクストの分析が一歩進んだ、と言えるわけです。
- テクスト読解には不正解がありえます。しかし、上述のように討議を進めることができるなら、誤りすら 読解を進めるための資源とすることができます。つまり、「間違った読解はあるが、無駄な読解はない」という仕方で読書会を進めていくことができるはずなのです。そしてまた、そうした読書会を実現できるなら、参加者は、間違ったことを言うことを恐れすぎたり、ただ正しいことだけを述べようと必死に頑張る必要はなくなるでしょう。
使うことが望ましくない表現
自分の発言を「哲学のことはよく知らないので・哲学は素人なので」、「個人的な意見ですが」、「間違っているかもしれませんが」といった表現で総括的に修飾するのは ぜひともやめてください。これには二つの理由があります。
理由1
- この読書会参加者の大部分は哲学のことをよく知らない素人なので、「哲学のことをよく知らない素人である」という前置きは、その発言の特徴づけ(=限定)にはなりません。
- この読書会の参加者は、全員が個人として参加しているので、「個人的な意見である」という前置きは、その発言の特徴づけにはなりません。
- どんな発言にも間違っている可能性があるので、「間違っているかもしれない」という前置きは、その発言の特徴づけにはなりません。
- あなたの発言が、「哲学のことをよく知らない素人による・個人的な・間違っているかもしれない」ものであることは、あなたの発言を免責しません。
理由2:
- しかしもっと重要な理由があります。
発言に対する修飾は、総括的にではなく、個々の発言内容に見合った形で行われるべきだ、というのがそれです。
- 個々の発言は、その発言内容の性格に応じて、それにふさわしい語彙・表現(典型的には助動詞や修飾句)を使って修飾されるべきです。
- ここで性格というのは、たとえば、
「見れば誰にでもわかるだろうことを言葉にしたもの」なのか、
「テクストに与えられている他の要素も用いて推論を行うことによって獲得できるもの」なのか、
「そのままでは理解が難しい箇所に対する解釈」なのか*、
といった違いのことです。
- 「個人的な意見ですが」などの概括的な前置きは、こうした違いを明示しようとする努力を一括して回避しようとするものです。だからこそ、なるべく使わないでいただきたいのです。
- 自分の発言を、それがどのような性格と どの程度のもっともらしさを持ったものとして提示すべきかを 自覚しながらおこなうことは、テクストについて他人と話すためには、ぜひとも必要なスキルです。しかしこれは それなりに難しいことであり、また訓練をしなければ身につかないものでもあります。そして、訓練をするためには、失敗と修正を繰り返すことが必要であり、したがって、失敗が許容される場所が必要です。
- この読書会では、参加者が、発言の特徴づけをうまくできていないことを、主催者が咎めたり叱責したりすることはありませんし、他の参加者にもそのようにお願いします(つまり主催者は、この読書会を「失敗が許容される訓練のための場」としても設定するつもりです)。代わりに、主催者としては、それができていないときには「できていない」と指摘し、やり直しを促すことになるでしょう。また、誰かが「間違っているかもしれませんが」といった前置きをするたびに、「その表現は使わないでほしい」と飽きもせず繰り返しお願いすることになるでしょう。
* 「この箇所にふさわしい前提を置けば言える読解可能性なのか」なのか、「想像も交えて推論すると到達可能な読解可能性」なのか…など。
指針
- では、その訓練のためにはどのような手続きを踏めばよいでしょうか。これはなかなか難しい課題ですが、やはり同じ図を使うと指針を一つ提示することはできます。