作成 20160307|更新 20160801

教育社会学古典読書会

開催趣旨 目標 読書会の形態 日程 対象文献 想定される参加者 参加申込・連絡先

開催趣旨


  教育社会学では、1970年前後に「新しい教育社会学」および「解釈的パラダイム」が登場したことにより、学校で行われる諸活動についての “質的研究” が盛んになりました。「新しい教育社会学」や「解釈的パラダイム」は、それまでの教育社会学研究1が、学校のインプット(設備や教員の能力、学級規模な ど)とアウトプット(生徒の学業成績など)の関係のみを見ており、学校内部の過程をブラックボックス化していると批判し、学校内部の過程に着目することの 重要性を主張したとされています。この読書会で検討対象とする『だれが進学を決定するか』および Language Use and School Performance もまた、この流れの中に位置づけられ、特に「解釈的パラダイム」にもとづく研究とされています。

  「新しい教育社会学」と「解釈的パラダイム」のうち、前者についてのレビューや学史研究は散見されるものの、後者についてはレビューが少なく2、その教育社会学史上の位置づけがやや不透明なものとなっています。読書会の検討対象である Language Use and School Performance は、Karabel & Halsey(1977=1980)3による批判的なレビュー以降、ほとんど取り上げられることがありません。

  この読書会では、とりわけ Aaron V. Cicourel をはじめとする、初期エスノメソドロジー的な教育研究について、その学史上の位置づけを確認し、学校内部の諸活動に着目する”質的研究” について再考することを目的としています。また、上記文献を読み進めるにあたり、成城大学の 南 保輔教授をオブザーバーとして迎えます。

  1. こうしたインプットとアウトプットの関連性に着目したものとして、例えば、1966年の 「コールマン報告」 などが挙げられます。
  2. 数少ないレビューの一つとして、山村賢明, 1982, 「解釈的パラダイムと教育研究──エスノメソドロジーを中心にして」『教育社会学研究』 など。
  3. Karabel & Halsey, 1977=1980, 「教育社会学のパラダイム展開」(収録:潮木守一他訳、『教育と社会変動』()東京大学出版会)

目標(仮)

読書会の形態

日程と対象

開催日: 文献と範囲
第五回  [仮]09月23日(金)、19:00~ Language Use and School Performance、2章
第四回  [仮]08月28日(日)、15:00~ Language Use and School Performance、1章
第三回  07月10日(日)、15:00~ 『だれが進学を決定するか』、4&5章
第二回  06月05日(日)、15:00~ 『だれが進学を決定するか』、2&3章
第一回 04月24日(日)、15:00~ 『だれが進学を決定するか』、1章

対象文献候補

※書籍優先、論文は希望があれば。
※対象書籍の目次がページ下部にあります。

書籍

  1. Language Use and School Performance  (1974年、他6名との共著)
  2. 『だれが進学を決定するか――選抜機関としての学校』  (J. キツセとの共著、訳書1985年、 原著:1963年、原著タイトル The Educational Decision Makers: An Advanced Study in Sociology .)
  3. The Social Organization of Juvenile Justice  (希望があれば)

論文

  1. 1970, The Acquisition of Social Structure: Toward a Developmental Sociology of Language and meaning. in Jack D. Douglas ed. Understanding Everyday Life
  2. 1987, The Interpenetration of Communicative Contexts:Examples from Medical Encounters. in Social Psychology Quarterly, 50(2): 217-226.(http://www.jstor.org/stable/2786753
  3. 1972, Basic and Normative Rules in the Negotiation of Status and Role. in David Sudnow ed. Studies in Social Interaction
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想定される参加者

参加申込・連絡先

※参加申込は締めきりました。

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対象文献 目次

Language Use and School Performance 『だれが進学を決定するか』
  • Chapter 1 Introduction (Aaron V. Cicourel)
  • Chapter 2 Ad Hocing in the Schools: A Study of Placement Practices in the Kindergartens of Two Schools (Kenneth C. W. Leiter)
  • Chapter 3 Accomplishing Classroom Lessons (Hugh Mehan)
  • Chapter 4 Intelligence Testing as a Social Activity (David R. Roth)
  • Chapter 5 Standardized Tests: Objective/Objectified Measures of “Competence” (Robert MacKay)
  • Chapter 6 Tests and Experiments With Children (Kenneth H. Jennings and Sybillyn H. M. Jennings)
  • Chapter 7 Some Basic Theoretical Issues in the Assessment of the Child's Performance in Testing and Classroom Settings (Aaron V. Cicourel)
  • 1章 社会的分化の仕組みとしての学校
    • 1-1 問題への接近
    • 1-2 概念的枠組み
    • 1-3 問題点の概要
    • 1-4 組織過程と高校での経歴
    • 1-5 才能開発の官僚制化
  • 2章 大学進学志望の「賦与性」
    • 2-1 レークショア高校の社会的特質
    • 2-2 レークショア高校の組織的特質
    • 2-3 調査の構成について
    • 2-4 大学進学期待の「賦与性」
    • 2-5 大学進学活動への親の参加
    • 2-6 生徒の大学進学志向
  • 3章 学校組織における生徒の分化
    • 3-1 大学進学の表明
    • 3-2 カウンセラーによる生徒の成績の評価
    • 3-3 カウンセラーの判断の基礎
  • 4章 カウンセリング制度の官僚制化
    • 4-1 学校体系におけるカウンセリング
    • 4-2 カウンセリングの専門職化
    • 4-3 カウンセラーの組織的地位
    • 4-4 カウンセリング活動の組織
    • 4-5 生徒の問題の類別概念
  • 5章 高校の官僚制と社会移動
    • 5-1 個人的努力と組織による庇護性
    • 5-2 社会移動の官僚制化
    • 5-3 結論―若干の評価的所見
  • 附録
    • (1) 方法について
    • (2) 2章で示された質問と表に関するコーディング規則とその例
    • (3) 面接手順と内容(インタビュー・スケジュール)
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