注15:

コードのポジティブな値(合法、真理)とネガティブな値(不法、非真理)を、システムの内/外(自己言及/他者言及)と同一視しないよう、注意を促しておきたい。不法や非真理はシステムではなく環境の側に属する、というわけではない。両者の区別は「直交」する。つまり、どちらの言及にどちらの値を割り当てることもできるのである。したがって、例えば真理を、認識の他者言及を秩序づける基準として理解してはならない。真理は、自己言及と他者言及の区別に関連する(構成主義)。同様に、利益法学/概念法学の区別も無意味となる。法を利益保護(=他者言及)の手段として把握することはできない。適法的な利益と、不適法な利益が存在するのだから。また、法と調和する概念使用もあれば、そうでないものもあるのだから(Luhmann 1997:755)。