注5:

この種の議論にモデルと素材の両方を提供した西川長夫の国民国家論においてすでに、この論法が典型的なかたちで現れてきている。

文化相対主義は国民国家のイデオロギーの批判として出発しながらも、結局は国民国家の固定的な文化モデルを受け入れている。こうした観点からは、移動し変容する世界の諸文化の姿をとらえることはできないだろう。(西川 2001: 304)